改名マニュアル〜性同一性障害(性別違和)の方対象

性同一性障害改名マニュアル
性同一性障害改名マニュアル

結婚や離婚で姓(苗字)を変えたという話は聞いたことがありますよね。

しかし自分以外で、名(苗字ではなく下の名前)の変更をした話は直接聞いたことはありません。事例が少ないのかもしれません。

私自身が性同一性障害なので、そういう方でこれから名の変更をしようとしている方対象に参考になればと思い記事を書きました。

変更許可を貰ったのはだいぶ前で2012/5/11でした。

手順

①住民票のある地域の家庭裁判所に書類を提出します。

 それにはまず管轄の家庭裁判所はどこかを調べます。都道府県別のPDFをクリックして開き、中の記載を確認します。住民票のある管轄の家庭裁判所を調べます。

申立書類提出先一覧(家庭裁判所)

これでどこの家庭裁判所に申立てをすれば良いかがわかりました。

②必要書類

(1)申立て書 PDF形式やWord形式でDLできます。記入例まで裁判所HPに記載があります。

名の変更許可の申立書

ダウンロードして手書きでもいいですが、パソコンなどでPDFやWordで記入していっても良いです。私は最近性別変更申立てをしたのですが、PDFにaffinity designerというアプリで上書しました。最初はWordでDL後、Google Documenntで開き記入しようとしたらやたらと文字のズレが生じてしまったのでその方法はやめました。

当時の申立書のコピーなどは残っていないので掲載できませんが、申立ての理由の欄は

・性同一性障害の診断書が出ていること。

・普段からMTFは女性名、FTMは男性名で通用していること(普段から使っている)

・現在の名前で社会生活上不便なこと

を中心に記載すれば良いかと思います。

文章が苦手な人は箇条書きにしてから、AIさん(GeminiとかChatGPTなど)に「名の改名の申し立てをするんだけど、申立て理由の文章を作成して」などとお願いしてもいいかもしれません。(自己判断で)

(2)800円分の収入印紙(2026年5月現在)

申立書に貼ります。800円という印紙はないので400円を2枚購入します。

(3)切手

切手は裁判所や内容によって値段が変わるので必ず裁判所HPで確認します。私は古い情報をネットで見てしまって、郵便局で82円分の切手くださいと言ったところ「そんな切手今はない」と言われてしまいました。最新情報確認は必要ですね。下記のリンクで確認します。

各地の裁判所の裁判手続利用ページ一覧

(4)医師の診断書

精神科医2名の署名が記載された診断書。ペラ1枚のものではないです。A4で3枚の書式があります。フォーマット自体は自分で用意しなくても診断書を出してくれる病院に用意はあると思います。厚生労働省が決めています。

診断書 厚生労働省

(5)戸籍謄本(全部事項証明書)

生まれてから全部が記載されたものです。一部記載のものはダメです。役所で発行してもらうか、遠方の場合は郵送も可能なようです。役所が複数でこの取得で苦労される方もいるようです。

(6)名の変更の理由を証する資料

公共料金などの請求書の名義をあらかじめ改名したい名に登録、変更しておきます。会員証など。

料金支払いの領収書で改名希望の名が記載されているもの。電子化された領収書ならスクショなどして印刷して持っていくといいかもしれません。届いた郵便物などでもいいかもしれません。

希望の名をどれだけ長く使ってきたかが、判断の要素に入ってくる可能性がありますが、その基準が発表されているわけではないです。しかし長い方が好ましいと思われます。

私は半年間使用の通称名で通りました。本当はもっと長い期間使用してきた通称名がありました。しかし改名後の名前が本名になると考えた時に何か違和感があったので、新たに考え直したので短い実績になりました。使用実績は2段階のレベルがあります。

通称名を自分で使用してきた < 他人もその名前で認知している

「会員証などで名前を変えてますよ」よりも「職場でその名前で通っています」の方が有効だということになります。人、企業から届いた郵便物の名前が通称名というのも良いかと思います。

ネットで使用実績「〜年必要」と断言している方もいるようですが、その方の体験を言っているのか勝手にその位は必要と言っているだけなのか見極めましょう。私の場合は実際に半年で通りました。経験談です。

実際のやり取り

審判日当日。待合室にはたくさんの人がいました。家裁はこんなに混んでいるものなのかと驚きました。一体、皆さんはどんな案件できているんだろうと思いましたが、自分もそう思われている一人なのかと思いました。

私が申し立てをした霞ヶ関の家裁では個室に通されました。審判は裁判官を直接話をするのではありませんでした。裁判官と私は別々の部屋にいて。調停員?スタッフ?(肩書お聞きしましたが忘れました)と思われる方が裁判官と私がいる部屋を行き来し伝達するというやり方でした。(2012年の情報なので現在は違うかもしれません。また裁判所によっても違う可能性があります)

家庭裁判所のイメージ

そこで内容の確認がおこなわれ、

「性同一性障害であることだけを理由に変更はできない」と言われました。

これはまずい。通称名にしたり診断書をもらったり苦労してましたから改名できないのは「絶対にだめだ〜」と心の中で叫びました。

調停員と思われる方が「裁判官が、社会的に今の名前で生活している上で何か不便になることがあるかが判断のポイントとなる」と言っていましたと伝達してきました。

ここで必死に説明しました。

今度就職する先が改名したい名前ですでに、登録してあるので改名できないのは困ると状況を説明しました。

「わかりました。裁判官に伝えてみます。」

「それと改名したら元の名前に戻すことはできないがいいですか」と。

「元に戻せなくても問題ない」と伝えました。

元になんて戻すなんて冗談じゃないと心の中で叫びました。

しばらく一人部屋の中で沈黙。通るか通らないか私にとっては一大事件だった。人生を左右する時間だ。しばらく時間が止まった様な感覚でした。

しばらくして部屋のドアが開き「改名の許可がでました」と言われました。

….やれやれ。男性名と見た目のギャップでどんだけ苦労してきたことか…

感無量でした。その後ご褒美のデザートを、食べたかどうかは今となっては記憶にございません。

これが実際の審判

まだ終わらない手続き

これで終わりではない。

区役所に行き、戸籍名の変更手続きをしにいった。さらに免許証、保険証の変更手続きをしなければならない。自動ではない。銀行の名義変更などは手続きが面倒すぎて変更を諦めたこともあった。解約すら面倒になってしまった。そういう銀行は使わなくなっていった。新規契約の方が楽だったりした。

運転免許証は裏面に変更名が書かれるだけだ。これは残念。次の更新を待つか、紛失(わざとはNG)するしかない。

マイナンバーカードの氏名変更は、お住まいの市役所・区役所窓口で手続きが必要とのことです。私が名の変更した当時はマイナンバーカードはなかった様な気がする。

健康保険証

・国民健康保険(自営業・フリーランスなど)・・・市町村の役所で手続き

・社会保険(会社員・被扶養者)・・・職場の人事担当者。会社に所属している場合、自身で年金事務所へ行く必要はなく、書類は会社経由で提出します。

最後に

それでも履歴書に堂々と改名後の名前を記載できるのは嬉しい。

改名してから採用率があがった感じはしていた。

女性の格好で面接に行き、男性にしかない名前が記載されているのを面接官がみて驚くという様なことは無くなった。こういったことからは解放されたのである。

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