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大学4年生で急に?プロギタリストに!!
大学生4年生の頃。
当時の私(大学4年生)はギタリストとして演奏してお金を貰っていた。そこに至る経緯や実際に仕事をして行く中であった事を書いていきます。懐かしい思い出でもあります。
ひょんなキッカケで出会った会社社長。当時私は8人組編成フュージョンバンドのギタリストとして活動していた。学園祭やライブハウスで活動をしていたのだ。ある時当時原宿にあったロサンジェルスというライブハウスを貸切でワンマンライブを行った。
その時、わたしが呼んだお客さんはその会社社長をはじめ、同級生、友人など50人ほどであった。バンド全体での動員数は7〜80人と言った感じであったと記憶している。
しばらくするとその社長から連絡があり「うちでギター演奏しないか」と言ってきた。演奏してお金がいただけるという話なので正直嬉しかった。
2時間ほどの拘束時間で5〜6曲演奏。20,000円に夕ご飯まで食べさせてもらえた。
その会社は結婚式の披露宴での生演奏やイベント会場での演奏の依頼を引き受けていた。
結婚式で新郎新婦が生演奏のオプションを依頼してくると、新郎新婦の入場音楽の生演奏、場面転換での演奏、カラオケの演奏などを行なっていた。
ファーストインプレッション
この仕事を引き受けると社長に「最初は見学に来い。○月○日都心の×××ホテルに△△時に来い!」とだけ言われた。聞いたことのある有名なホテルだった。
当日遅刻はしないように、少し早めに行った。
到着するもバンドメンバーは誰もいない。まだ5分程あるから少し待とう。
時間になって誰も来ない。
そこに宴会場の責任者がやってきた。「なんだまだメンバー来ていないのか!ふざけるな!」といきなり怒鳴られた。
ただ「来い」と言われて来た私は困惑した。右も左もわからない大学生の私に何を言うの〜って心の中で叫んだ。
でもこれはまずい状況だ。すぐに社長に電話した。
社長に「宴会場のマネージャーが激怒しています!」と言うと、
「途中で首都高が大渋滞している。後15分ぐらいかかる」と伝えといて。
一大学生の私に重大な責任が!!
宴会場のマネージャーに伝えなければ・・・・
渋滞で遅れることを伝えると、納得するどころかさらに怒りが爆発し凄いことになってしまった。
もはや謝り続けるしか選択肢はなかったが、心の中では「なんで私が謝らなきゃならないだろう。でもこの事で社長の仕事なくなったら大変だろうな」と思った。
ここは謝り続けるのが大人の対応と思って凌いだのだった。
遅れていたバンドメンバーを乗せたワゴン車が到着した。
急げ〜!
バンド演奏で準備が大変なのはドラムである。音楽スタジオみたいに据え置きのセットなんてない。
真っ先にドラムの部品達を運んだ運んだ。走った走った。すったもんだしながら10分ほどで演奏できる状態にはなった。到着予定時間には大幅に遅れた。演奏予定時間にはギリギリのカツカツで間に合った。
見学だったはずがいきなり凄い展開だ。やはり会社のあった練馬から都心は遠いのだ。もっと早めに出てきてよー!
演奏が無事に終った。
片付け。機材を車につめこんだ。そのまま明治通り原宿近くの焼肉屋に連行された。焼肉屋での会話はもう忘れてしまったが、これがメンバーとの最初の顔合わせだった。
プロの世界
しばらくして、仕事が入った。仕事柄土日祝日が演奏になる事が多い。大学生の私にはちょうど良かった。平日授業にも出れる。
本番の前1〜2週間前にリハーサルスタジオに呼ばれる。気合を入れてスタジオに向かった。弾くコードもテンションコードバリバリの速い展開の楽曲ばかりだ。しかしお金を貰う以上ミスする訳にはいかない。アマチュアバンドではないのだ。
そしてリハーサルの当日。
スタジオに入った。
ドラムの演奏を聴くと、正確なのはもちろん強弱のメリハリがしっかりと出ていた。一定の強さでしか叩かない自分のバンドのドラマーと大違いだ。流石プロだ。
キーボードディスト、管楽器の人などは音大出の人が多かった。譜面渡されたらすぐ初見で正確に演奏できる能力に驚く。流石音大出だ。
私は初見で演奏するのはかなりつらかったが、だが本番までには完璧に仕上げた。正確さには音大でに負けるが、私にはアドリブという武器があった。
正確に譜面通りに演奏する音大出の人達に褒められた。「なんでアドリブできるの。すごいね。」って。ジャズをやっている音大の人は別としてクラッシック系の人達にはアドリブは脅威なのであったのだ。
お互い持っていないものに惹かれるのだ。
When You Wish Upon A Star
いわゆるスタンダードナンバーという今まで私が触れたことのないジャンルの音楽達だった。
今までの私はRainbow、RUSH、Iron Maiden、Michael Schenker、Black Sabbathなどのコピーをしてきた私には新鮮だった。
泥酔者
ある日リハーサルスタジオで私が見つめていた譜面は演歌であった。
まったく知らない曲だった。演歌はコード進行もシンプルで即興でアドリブ入れやすい。失礼だけれどもこれは楽だし見せ所作れるなと思った。
今度の楽曲が演歌なわけは、披露宴で年配の男性が「生演奏で歌を歌いたい」という要望があったためだ。カラオケは使わず生のバンドでと。
当日現場に向かいいよいよ演奏の時間がやってきた。出てきたおじいさまはかなり飲み過ぎている模様で足元フラフラであった。
えっ!この状態で歌えるの!?
イントロのギターソロにはじまり、いよいよ歌い出しだ。
うまくタイミングが取れないようだ。しかしこの演奏はカラオケではない。歌い手に合わせて瞬時にもう一度歌い出しの部分に戻した。
しかし・・・
うまくタイミングに乗れない。管楽器のバンマスがボーカルをリードするため歌い出しの旋律を奏でる。
だが、こちらの気合の入った合せにも動ぜず。変なタイミングで歌い出した。
うっこれは変拍子だ。
演歌に変拍子が存在したら演歌界の大革命だ。きっとフロンティア精神旺盛なおじいさまに違いない。
もう一度気を引き締め、歌声に合わせる。
やれやれ歌い出してくれた。
酔っ払っているのでデンポも♪=60くらいから♪=120くらいの間でランダムに変わって行く。
開拓者精神は変拍子だけではなかったのだ。
それでもお金をもらえる約束をしている私たちは暴走に追従する。まさにプロ根性だ。
あくまでお客様に合わせる。カラオケにはないホスピタリティだ。
自分のバンドではそもそも戻ると言うことは存在しなかった。ボーカルがいないインストバンドだったし。
だが、非常に勉強になった。歌い手に合わせると言う現在のDTM業界にはあり得ない経験ができた。これならもう泥酔者の歌い手が来てももう怖くないだろうと思ったのだ。
幕張メッセで虎が視界から消えた
幕張メッセで仕事が入ったと連絡があった。
お~幕張メッセかすごいなあ。
企業イベントの仕事だそう。企業フェアで各社がブースを出し自社の製品やサービスなどを展示、説明するイベントだ。
当日会社のワゴン車から大きい袋を渡された。
?
袋の中身を見るとウサギの着ぐるみが入っている。頭、胴体とパーツが袋詰めされていた。着ぐるみがパッケージングされているのを見るのは人生初めてだった。
開封してみると結構でかい。
その時は5人編成のバンドだったが皆それぞれ別の動物だった。私にウサギを手渡された理由は今を持っても永遠の謎だ。
演奏する前に着てみると頭が以上にでかい。さらにウサギなので耳が30~40cm位と長い。片方の耳はまっすぐピンと立っており、もう片方の耳は途中で折れ曲がっている。
実際に演奏が始まった。ウサギとして演奏するのは初めてだ。ウサギの口の位置に自分の目がありそこで譜面をみる。かなり視界が狭い。まあその口が広かったら不気味なウサギになってしまうから仕方がない。
演奏が進むにつれウサギの重い頭がだんだんずれてくる。譜面が視界から逃げる。そのたびに頭の角度を変えながら調整する。かなりの高度なテクニックだ。間違ってもウサギの頭を手で抱えて修正する行為はできない。
数曲の演奏が終わり幕がいったん閉じる。次の出番まで控室で待機だ。ギターをギタースタンドに立てたあたりで、ドラムの虎(着ぐるみ)がステージ前方の方に歩いてくる。
え? どこへいくの?
スティックを持ちながら虎のままで・・・
その後、急に虎が視界から消えた。
幕張メッセの高いステージから落下したのだった。正確には覚えていないが1.5~2mで一般的なホールや劇場のステージのより高い。
残ったメンバー全員で下を覗くと、虎が手足をバタバタさせてもがいていた。その光景があまりに面白くて申し訳ないけれども笑ってしまった。
その後何ステージかあったと思うが、虎はあばら骨あたりが痛いと言いながらドラムを叩いていた。
後日虎に聞いてみると、痛みが取れないので病院で診察してもらったらあばら骨にひびが入っていたそうだ。
視界が悪い状態で歩いていて、次の1歩は間違いなく床の上だと信じて止まなかったハズだ。本人は何が起こったのかわからなかったのだと思う。
皆さんも着ぐるみを着る際には足元に気を付けましょう。
控室で頭だけ人間の動物たちがコーヒーを飲む不思議な光景は今でも脳裏に焼き付いているのだった。
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